神宮大麻をお迎えしましょう


お伊勢様と神宮大麻

「お伊勢さま」の名で全国の崇敬をあつめる伊勢の神宮は、天照大御神をおまつ りする皇大神宮(内宮)、天照大御神のお食事を司る豊受大神宮(外宮)と、その別宮、摂社、末社および所管社(計百二十五 社)の総称です。

伊勢の神宮のお神札

 お神札は、神さまを仰ぐ「みしるし」です。伊勢の神宮のお神札を「神宮大麻」と いい、神棚の中心(中央)におまつりします。 神宮大麻は、毎年暮れになると全国の氏神さまを通じて各家庭に頒布されます。  なぜ、家庭の神棚に氏神さまのお神札とともに神宮大麻をおまつりするのでしょう か。それは、私たちの住むこの日本が、皇室の御祖神である天照大御神の御神徳によっ て秩序づけられ、日々発展しているからです。

日本人のこうした生活習慣は、私たち の先祖からの貴重なメッセージでもあります。  

神宮大麻は、伊勢の神宮で、清浄を期して奉製されています。その準備は毎年一 月中旬に始まり、九月には全国の氏神さまに届けられ、頒布が始まります。  心豊かな生活は神さまとの日々の会話から始まります。日本人の清く明るい心 は、毎年あらたまる神宮大麻と氏神さまのお神札から育まれるのです。毎年必ず 新しいお神札をお受けになり、清らかな一年を過ごすことを心がけましょう。

お神札をいただいたら家庭の神棚におまつりします。神さまと毎日生活を共に しているという気持ちが家庭に心の安らぎをもたらします。神棚はその家の中 で神さまがお鎮まりになるところですから、明るく清らかで目線より少し上の 位置に設けるのが良いでしょう。神棚の向きは南向きか東向きが良いとされて います。

神棚がない場合は?  

 お神札をおまつりしたいのに神棚が付けられないで困っている方もいます。これは近年の建売住宅やマンションが神棚の設置を考慮していない設計により建てられているからなのです。この場合の対応ですが、壁に棚板を取り付けられない場合には、食器棚などの比較的背の高い家具の上に板を一枚置いて、その上に小さくても構いませんから宮形を置いておまつりすることをおすすめして下さい。タンスや本棚の上などをきれいに整え、そこに宮形を置き神棚に代えるのもよいでしょう。 

お神札だけを立てかけておく場合を見かけますが、これは望ましくありません。神棚が設置できない場合もありますが、大切なのはおまつりする心です。出来るところから工夫して 、家族の幸せを祈りましょう。

毎年お神札を取り替える理由?  

 お正月を迎えるにあたり、神棚をきれいにお掃除して、新たに神社から受けたお神札を神棚におまつりします。神社から受けるお神札には、伊勢の神宮のお神札である神宮大麻、氏神様のお神札、台所におまつりする竈神様のお神札などがあります。年の区切りにあたるこの時期に、神社から新しいお神札を受けることにより、御神霊の力、恩頼を戴き、迎える新しい年も家内が無事であるように祈念し、おまつりします。 今までおまつりしていた古いお神札は、過去の一年が無事過ごせたことを感謝し、神社にお礼参りをして納めます。このお神札は神社でお焚き上げされます。このお焚き上げを地域によっては、左義長やどんど焼きと称しています。 我が国には古来、親から子、子から孫へと、脈々と続く生命のつながりを尊び、これを発展的に未来へ受け継ぐという考え方があります。こうしたことは、例えば伊勢の神宮でも、二十年ごとに社殿を造り替え、大神様に新しいお社にお遷り戴く式年遷宮が、古来連綿とおこなわれていますし、そのほかの神社でも社殿を新造することにより、さらなる御神威の発揚が図られてきました。私たちが毎年、神棚のお神札を新しくするのも、まさにこうした考え方によることなのです。

神宮大麻の薄紙をはがすべきか?  

  この薄紙は、各家庭に届き神棚に納められるまで、決して汚れることがないよう神宮大麻の上包みとして施されているものです。ですからこの薄紙は、神棚におまつりする際に取り除いても差し障りありません。しかし、薄紙越しにうっすらと見える天照皇大神宮の文字は、はっきり見えないがために奥ゆかしさや有り難さを醸し出しており、このままおまつりしている家庭が多いも事実です。

(福島県神社廳 実用 総代必携 より抜粋)